公益財団法人 えどがわ環境財団

文字サイズ
menu
MENU

自然動物園SHIZEN ZOO

2026年03月の自然動物園ぶろぐ

ミルキーとの日々を振り返って

 

以前お知らせしたとおり、2026年1月14日の早朝にヤギのミルキーが死亡しました。

 

少し時間が経ってしまいましたが、今回はミルキーとの日々を振り返りたいと思います。

 


 

◆ミルキーについて

 

ミルキーは2013年2月28日、群馬県にある伊香保グリーン牧場で生まれ、生後約1か月で当園にやって来ました。

 

 

 

来園当初から顔まわりには独特な模様があり、まさに「そのまま小さくしたミルキー」。

 

当時のミルキーを知っている飼育係によると、小さい頃から穏やかで落ち着いた性格だったそうです。

約13年間、ふれあいコーナーで活躍してくれました。

 

 

 

その穏やかさから、当園では来園者の方と同じ空間で安全にふれあいができる、唯一のヤギでもありました。

 


 

◆晩年の様子

 

私が担当になったのは2023年4月で(※飼育員全員が担当)その頃のミルキーは、落ち着いた存在感のある老齢個体という印象でした。

 

昨年の夏頃、一時的に立ち上がることができなくなり、しばらくバックヤードで養生していました。

 

掃除の間はエアコンの効いた部屋で過ごしたり、スポットクーラーを使ったりしながら、何とか暑さをしのぎました。

 

 

 

日によって立ち上がれたり歩けなかったりと状態は変化し、私たちは何度も「もう長く生きられないかもしれない」と感じました。

それでも、その度に持ち直し、私たちを驚かせてくれました。

 

立ち上がれない時や辛そうな時、死亡する前日の夕方まで食欲が落ちることはなく、ミルキーからは何度も「生きる」という強い意思を感じました。

 

 

(枝葉やチモシーの粉の部分が好きで、よくおねだりしていました。)

 

夏を越えた後は自力で歩くことができるまで回復し、再びふれあいコーナーに出て、穏やかな日々が続いていました。

 


 

◆目が見えなくなってから

 

大きな変化があったのは、2026年に入ってすぐのことでした。

 

突然、目が見えづらくなったようで周りにぶつかったり、慎重に歩いたりするようになりました。

私たちも戸惑いましたが、一番戸惑っていたのはミルキーだったと思います。

 

壁や障害物にぶつかっても痛くならないようタオルを巻いたり、

 

 

 

床材としてクッションのような効果のあるブレスエアー®(写真左側)も大活躍でした。

ミルキーが自分で選んで使用しており、歩様や褥瘡の改善も確認できました。

 

 

転ばないように歩く時は介助ハーネスを着けて、一緒にゆっくりふれあいコーナーまで歩きました。

 

 

 

体調は日によって変化があり、歩けずに転んで座り込んでしまう日はお手製の台車でバックヤードまで帰ることもありました。

 

台車の便利さ(楽さ)を覚えてからは、体調が良い日でも台車が来るまで歩かずに待っていることもありました。(笑)

 

 

(初めて台車に乗った日、まんざらでもない様子が伝わるかと思います。)

 

 

ハーネスや台車など、環境の変化にもすぐに順応し、受け入れてくれたミルキーに心から感謝しています。

 

この介護の日々を通して、ミルキーは本当に賢く、こちらの意図をよく理解してくれていると感じました。

 

反応で「好き」「嫌い」を教えてくれたり、飼育員それぞれを見分けて甘える相手を決めているようでした。

 

特に、目がほとんど見えなくなってからは「ミルキー!」と声をかけると「どこにいたのー!?」と言わんばかりに大きな声で、何度も返事をしてくれました。

 

ミルキーの反応を頼りに、求めていることを手探りで探す日々でした。

すべてではありませんが、意思の疎通ができていたように思います。

 


 

 

◆最後の日々

 

死亡する2日前までは、ふれあいコーナーで過ごし、皆さまにお会いすることができました(前日は休園日でした)。

 

 

(1月12日のミルキー。とても穏やかに過ごしていました。) 

 

 

13日の朝は自分で歩いて、ふれあいコーナーまで行くことができましたが、午前中に倒れてしまい、立ち上がることが出来なくなってしまいました。

 

何度か介助で立ち上がらせたり、マッサージをするなど適宜、必要なことを検討しながら行いました。

 

 

 

立ち上がることはできなかったものの、夕方にはエサもよく食べていつもの穏やかなミルキーに戻っていました。

 

まだもう少し一緒にいられるかもしれないと、かすかな希望を持っていましたが、その日の未明にミルキーは静かに生涯を終えました。

 

その旅立ちは本当にあっという間の出来事でした。 

 


 

◆ミルキーが教えてくれたこと 

 

動物園という場所には、生まれる命もあれば、亡くなる命もあります。

 

ヤギ・ミルキーの死を通して、私たち飼育員は悲しむだけでなく、その原因を追究し、経験や知見を次に生かしていくことが責務だと思っています。

 

晩年のミルキーとの日々を通して、動物を見る目を養うこと、些細な変化に気づくこと、何を求めているのかを考え続けることの重要性を再認識しました。

 

飼育員として当たり前であり、とても大切なことを、ミルキーがもう一度教えてくれました。

 


 

◆おわりに

 

1月から2月にかけて献花台とメッセージコーナーを設けたところ、たくさんのお花とメッセージをいただきました。

 

 

 

ミルキーが本当に多くの方から愛されていたことを実感しています。

改めて、思いを寄せてくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。

ありがとうございました。

 

ミルキーがいなくなったふれあいコーナーは少し寂しいですが、ミルキーが教えてくれたことを忘れず、これからも真摯に動物たちと向き合っていきたいと思います。

 

ミルキー、13年間お疲れ様でした。

ありがとう。ゆっくり休んでね。

 

(N)


2026年03月13日

より良いサイトへと改善するためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は皆様のお役に立ちましたか?(必須)

このページに対するご意見・ご要望がありましたらご記入ください。(任意)
なお、ご意見お問い合わせへの返信は行っておりませんのでご了承ください。