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身近な生き物『アズマヒキガエル』
みなさんは『ヒキガエル』ときいて、どのようなイメージをもちますか?
このブログを書いている飼育員のTは
昔はどこにでもいる生き物で、道路や民家、畑などいたるところにいた生き物だったと思い出します。
そんなヒキガエルですが、東日本に生息するヒキガエルの正式名を『アズマヒキガエル』といいます。
別名をイボガエル、ガマガエルと呼ばれることもあります。
このアズマヒキガエルですが、昔はどこにでもいるカエルでした。
昭和生まれの人のイメージだと、雨が降ると道路に出てきて車にひかれてしまう
かわいそうなカエルというイメージの方もいるかと思います。
そんなアズマヒキガエルですが、東京都では現在『準絶滅危惧種』
というカテゴリーに属しています。
準絶滅危惧種とは、今はまだ危機的な状況ではないが、このまま数が減っていくと
絶滅危惧種という一つ上のランクになってしまいます。
近県の千葉県ではすでに絶滅危惧種Ⅱ類というカテゴリーで、絶滅の危機が増大している種となり要保護生物になっています。
なぜ昔はたくさんいたのに現在は少なくなっているのかというと
ヒキガエルはオスが多く、メスが極端に少ない生き物です。
産卵期には1匹のメスに対して複数のオスが群がり、貴重なメスが圧迫死してしまうこともあります。
そして、一回の産卵で1500~8000個の卵を産みますが、そこからオタマジャクシになり、繁殖できる大きさになれるのが1割程度と言われています。
なんでそんなに卵を産むのに大人になれるのが少ないのかというと
卵の時にコイやフナなどの魚に食べられてしまいます。
無事オタマジャクシになれたとしても、泳ぐのが得意ではありません。そのため、同じ水中に生息している生き物(ザリガニやコイ、ヤゴなど)に食べられてしまいます。
ただ、一番の減少原因は生息環境の変化です。
昔は民家に池があったり、田んぼや用水路、畑があれば畑用の小さい池などがたくさんありましたが、現在は住居の建て替えや都市開発などでそれらの水域がどんどんなくなっています。
水域がなくなると卵が産めず、また親カエルは乾燥に強いとはいえコンクリート、アスファルトでは生きていけません。
そのような中、江戸川区行船公園は東京都でも貴重な生息場所、産卵場所になっています。春になるとたくさんの親カエルたちが公園内の池に集まり産卵します。
都内でも貴重な生息・産卵場所なので、ヒキガエルやオタマジャクシを見つけても持ち帰らず観察していただけたらと思います。
そんな貴重なヒキガエルのオタマジャクシからなんとか子供のカエルになれた個体がこのサイズです。
どうでしょうか?比較しやすいように1円玉と一緒に撮影しました。
こんなに小さい体で陸に上がり、生活をしていかなくてはいけない子供カエルです。
みなさんのイメージで小さい虫というとアリという方も多いとおもいますが
アリも子供カエルには大きくて食べられません。
ダニ類やショウジョウバエなどの極小の生き物が最初のエサです。
このような極小の生き物たちは土や水分が豊富にある生息環境が大切です。
現代は土のある環境が少なく、また、衛生管理もしっかりしているため、このような極小の生物が少なくなっています。
そういった小さい生き物たちを食べて、天敵から隠れ逃げ、大人になっていく子供ヒキガエルです。
最後に大人ヒキガエルと子供ヒキガエルの大きさ比べです。
どうでしょうか?こんな小さい体が数年かけてここまで大きくなります。
ここまで大きくなるために、沢山の試練を乗り越えた個体だけが大人のヒキガエルになれます。
江戸川区自然動物園では大人のアズマヒキガエルを展示しています。
東京都では準絶滅危惧種になっており、また夜行性の為、日中あまり見る機会がない
アズマヒキガエルを是非観察してみてくだい。
かわいい顔をしていますので!
T
2025年05月14日