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自然動物園ぶろぐ
流れる季節の真ん中で ふと日の長さを感じます
3月は卒業のシーズン。
いま、これを書いている私の頭の中には
レミオロメンさんの『3月9日』が流れていますが、
いままでお世話になった方々へ、
恩返ししたい気持ちの人も多いのでは?
恩返しといえば『ツルの恩返し』、
そして『猫の恩返し』(それはジブ○の映画。)のお話が有名だと思いますが、
実は、主人公がツルではなくてコウノトリになっている、
『コウノトリの恩返し』というお話もあるんですよ!(本当です!)
そこで今回は、おそらくあまり皆さんに知られていない、
『コウノトリの恩返し』についてのお話をしていきましょう。
むかしむかし、あるところに貧乏な母親と息子が暮らしていました。
息子は毎日、少しの塩を手に入れてはそれを売り、
2人はそのわずかなお金で生活していました。
ある日のことです。
息子がいつものように塩を手にして家へ戻る最中、
お殿様がしかけたワナにかかっているコウノトリを見つけました。
「おや、コウノトリじゃないか。かわいそうに。」
息子はコウノトリを放してやりました。
その後、家の近くまで帰ってきたとき、
なんと大きな石につまずいて
大事な塩をばらまいてしまったのです。
これで今日は塩を売りに行くことができません。
お金が無く食べ物も買えない母親と息子は、
お湯ばかり飲んで空腹をしのいでいました。
するとしばらくして「コンコン」と扉をたたく音がします。
扉を開けると、美しい娘が立っており、
「嫁にしてもらおうと思って来ました」と言うではありませんか。
2人はもちろん驚いて、
「食べるものもお金もないから嫁にもらうことはできない」
と言いましたが、「お願いです」と言って聞きません。
結局、娘のお願いを断り切れずに
息子のお嫁さんとして迎えることになりました。
すると次の日の朝早く、
今度は侍たちが家にやってきました。
彼らは、お殿様が捕えようとしていたコウノトリを逃がした罪として
今のお金で約70万円の罰金を払わなければ息子の命はない、と
厳しく言ってきたのです。
母親は「何ということをしたんだ!
そんな大金、一生かかっても払えない。どうすればいいんだ。」と
泣き崩れてしまいました。
娘は母親をなぐさめると、息子に向かってこう言いました。
「あなたがつまずいて塩をばらまいてしまった石をどけてみてください」
息子は不思議に思いつつも、すぐに言われたとおりに
自分がつまずいた大きな石をどけてみました。
するとなんということでしょう!
その石の下には大判小判がたくさん埋まっているではありませんか!
そのお金で罰金を支払い、息子は命を救われました。
ところがその後、娘が「町へ買い物に行く」と言ったまま
姿を消してしまったのです。
「あの娘は、きっとあのとき助けたコウノトリだったんだ。
恩を返しに来てくれたんだ。」と母親と息子は感謝しました。
こうして大金持ちになった親子は大阪へ行き、
その後、大商人として成功を収めたそうですよ。
おしまい。
(R)
2018年03月13日