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動物園にニホンミツバチ?
こんにちは。
今日は、動物園の飼育動物ではない「生きもの」のおはなしです。
ちょっと、長くなります。すみません。
みなさんは、私たちが大好きなハチミツを作るミツバチには2種類いることをご存知でしたか?
1つは、テレビや写真でよく見る養蜂のイメージ、お店に並んでいるハチミツのほとんどを作っているミツバチで「セイヨウミツバチ」です。セイヨウミツバチは、たくさんの蜜を集めるために改良した「家畜」で人間が大切に管理しないと生きてはいけません。
それに対して、もう1種は日本の在来種である「ニホンミツバチ」です。ニホンミツバチは、木のうろ、岩穴や隙間などに巣を作るのですが、最近では家の軒下、お寺、墓地、公園などでも営巣するニホンミツバチが増えているそうです。そしてニホンミツバチは、花木の地味な花を咲かせる樹木の蜜源を求めているそうです。
そういうこともあってか、行船公園でも一昨年あたりからニホンミツバチが木のうろに営巣し、昨年はワラビーの展示場の擬岩の隙間にも営巣し始めました。飼育スタッフも定期的に観察して見守ってきたんですよ。
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公園の木のうろに営巣した群れ | ほとんどの方が気がつきません |
ニホンミツバチは春先から夏にかけて「分蜂」(ぶんぽう)をします。新しい女王蜂が生まれ、はたらき蜂の半分以上を引き連れて巣別れをするのです。
写真↓は、昨年公園内で見られた「分蜂」のようすです。
直径40~50cmはあったかな?
こんなにたくさんのミツバチがかたまりになっていると、「怖っ‼!」と思ってしまいますが、ニホンミツバチは大変おとなしい性格で何もしなければミツバチから襲ってくることはまずありません。
この群れも偵察(ていさつ)バチが新しい営巣場所を見つけてくるまでの間、雨が降って寒くなってもみんなで体を震わせて、かたまりの温度が下がらないようがんばっていました。 5日ほどしたら、どこかに消えてしまいました。
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昨年見られた「分蜂」のようす | 直径50cmくらいはあった蜂玉 |
そして、今年は動物園でもこの「分蜂」の時期を狙って用意した巣箱で営巣してもらおうと準備を始めました。協力いただいたのは、区内で養蜂をしている鈴木さん!
家の屋上にたくさんのセイヨウミツバチを飼育していらっしゃいます。
巣箱の準備やミツバチたちが好みそうな場所を相談し、3つの巣箱を置きました。
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ミツバチが好む蜜蝋の煮汁を塗ります | こんな感じで高さを取ります |
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蜂が出入りしています | 少し日が当たった方が好み? |
そして・・・ついに、3つのうちの1つの巣箱に働きバチが出入りしているのを確認!
すごーい!
日に日に出入りするハチの数は増えてきています。この巣箱をまあまあな物件だと思ってくれたのでしょうか。
今まさに藤の花は満開を迎えていますし、これからいろんな木々が花を咲かせます。公園の木の花から花粉や蜜を集めて、巣箱に居続けてくれるといいのですね。足にたくさんの花粉をつけて帰ってくるミツバチは本当に健気だなと愛おしくなります。
みなさんも身近にニホンミツバチの巣を見つけたら、そーっと見守ってあげてくださいね。ミツバチが活発に飛び回っているということは、その地域の緑が豊かであること、また家庭菜園などには受粉の役に立っていることもあるかもしれません。
今後のミツバチたちのようすに変化があったら、またご報告しますね。
(K)
2020年04月28日