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自然動物園ぶろぐ
モルモットの出産
こんにちは。
自然動物園の獣医です。
先日、Instagramに産まれたばかりのモルモットの赤ちゃんの写真を投稿したところ、
「赤ちゃんなのに意外と大きいですね。」
「生まれたてでもしっかりしてますね。」
というようなコメントをいただきました。
(コメントありがとうございます!励みになります!)
せっかくなので、今日はモルモットの妊娠出産についてお話しします。
まず、モルモットの妊娠期間なのですが、約60日と非常に長いです。
(例えばウサギは約30日間ですし、ハムスターは20日間前後です。)
このような長い妊娠期間中、母親はお腹で赤ちゃんをしっかり育てます。
その結果、産まれたばかりの赤ちゃんにはすでに毛が生えていますし、目も開いていて数日でおっぱいだけでなく固形物も食べるようになります。
下の写真は生後3日目の赤ちゃんですが、赤ちゃんというよりミニチュアのモルモットという表現の方が似合いますね。
さて、このような大きな赤ちゃんを出産するお母さんは大変です。
モルモットは比較的難産が多いと言われていますが、その理由は、やはり胎子が大きいこと、その胎子の大きさに対して骨盤管が狭いことなどが挙げられ、当園でも時々出産のトラブルが発生してしまいます。
ある日飼育職員から、モルモットの妊娠診断を頼まれました。
その時のレントゲン画像が↓です。
まだうっすらですが、骨が確認できました。頭数は4頭!
レントゲンで胎仔を確認できるのは妊娠45日~50日以降なので、その日飼育職員には、しっかり妊娠していること、長くてもあと2週間くらいで産まれることを伝えました。
しかし、その後15日経過してもこの母親は出産せず、飼育職員も私も心配になってきました。
赤ちゃんが育ちすぎていないかな?子宮の動きは大丈夫かな。必要であれば薬で産ませなければ!
そこで、再度レントゲンを撮りました。
1枚目のレントゲン画像と比較すると赤ちゃんの骨がしっかりしているのがおわかりになると思います。
恥骨結合の開きを計ってみても出産の準備は万端で、母親のお腹を触ると赤ちゃんがしきりに動いているのがわかります。
今夜にでも産むかもしれない。でも、子宮の動きが悪くて難産になったらどうしよう。
もう1日待つか悩みましたが、母親も赤ちゃんも元気で、恥骨結合がしっかり開いているという状態なので、薬を使っても安全だと判断し、投薬で出産してもらうことにしました。
分娩を促すための子宮運動の活性化にはオキシトシンという薬を使います。
オキシトシンを使うと、通常15分以内に出産します。
ちょっとだけドキドキしながら他の仕事をしていてふと見ると・・・あ、いた!!
出産を見逃してしまいましたが、無事に2頭産まれていました。
母親は2頭をしっかりケアして羊膜を舐めとってあげています。
せっかくだから出産シーンを記録したいな、と考えながらカメラをいじっていると魔法のように3頭目も産まれました。
その時、母親は一瞬自分の陰部を舐め、くるりとその場で一周していました。
その1秒くらいの間に赤ちゃんが誕生したのです。
ということで、3頭目まで出産の記録を撮影できなかったのですが、4頭目にようやく撮影できました。
最後にその時の動画をご覧ください。
(V)
2020年07月18日