公益財団法人 えどがわ環境財団

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シロビタイムジオウムのシロちゃんとの別れ

 

 シロビタイムジオウムのオスのシロちゃんが、1月13日に亡くなりました。

 

 12月20日ごろから羽を膨らませて赤外線ランプの前にいることがあり、その後嘔吐も見られるようになり、治療していましたが、残念ながら13日に亡くなりました。

 

 ここからは、シロちゃんとの思い出を綴ります。長文になりますのでお時間あるときにお付き合いください。

 

     シロちゃん1

 

    一昨年の4月に担当になった頃のシロちゃんは、展示場に入る扉に近づくだけで、サーっと一番高い止まり木に飛んで、動かず静かに下を見ている。掃除をしている間も気配を消しているかのようにひっそりとして、エサをつけて外に出ると、恐る恐る下りてきて好きなものを掴んで、また急いで高い止まり木へ飛んでいく。人間は、怖いから嫌い・・そんなふうに見えました。

 とにかくシロちゃんに気に入られるために何かしなくては!と思い、いろんなフルーツやナッツ類をあげたりペレットも複数種類を試してみたりしました。(ちなみにシロちゃんは、ライチが大好物!ペレットはオレンジや赤や黄緑などカラフルなものが好きでした)、少しずつですがシロちゃんが私の存在を否定まではしなくなってきたかな?という頃・・・

 シロちゃんのお相手に、はるばる高知県から陽気で好奇心旺盛な若いメスのココちゃんがやってきたのです♪ココちゃんとの出会いはシロちゃんにとって衝撃的だったはずです。なぜなら、ココちゃんはわんぱーくこうちアニマルランドの飼育員の方が人工育雛で育てたので、人間のことを怖わがりません。それだけでなく、わんぱーくの方のすごいところは、複数の雛を人工育雛で一緒に育て、人に過剰に懐かないよう配慮したため、ココちゃんは人工育ちであっても人の言葉を真似したりは一切しませんし、鳥同士のコミュニケーションをちゃんと取れるのです。

  最初、入院室の網越しでお見合いをしていたのですが、人の手からひまわりをもらったり掃除用具で遊んだりするココちゃんを横でじーっと見ていました。しばらくすると、鳴き交わしや鳥同士のコミュニケーションも見られるようになりました。やがて、ココちゃんの展示場での慣らしトレーニングが始まると、ケージに入って連れられていくココちゃんを見てヒステリックに叫ぶようになりました。

 「これなら、いけるかも⁈」シロちゃんがココちゃんを求めていることは確かでした。時間をかけて、お互いの気持ちを高められるように環境づくりをしていこう!そう思い、展示場の準備をし、5月には、2羽を隣同士の展示場で展示し、しばらく観察した後に同居へ。担当者の心配もよそに、2羽はとても仲良く秋にはお互いが羽繕いをし合いそして交尾も確認できるまでになりました。

 

シロちゃんとココ シロちゃんとココ

 

 実は、シロちゃんは過去ペア相手のメスを突き殺してしまったことがありました。(これは、シロちゃんが特別なことではなく飼育下のオウムにはまま同じような報告があります。)ココちゃんに万が一のことがあったらと思うと、迷うことも多かったのですが、2羽を信じて展示場での繁殖に挑戦することにしました。12月に入り、交尾の回数も増えて、巣箱に入ることも確認できた矢先、シロちゃんの具合が悪くなってしまったのです。ここまで来ていただけに、本当に残念でなりません。

 

 

 シロちゃんと直接関われた時間は短かったのですが、シロちゃんはいろんなことを教えてくれました。人間の存在をあまり好きでなかったシロちゃん。担当になったころ、一日の大半は高い止まり木で寝ていました。やっぱり、それなりに年齢もいってるし動くのも億劫なんだろうな・・・なんて思っていたのですが…ココちゃんと一緒にいるようになって、ずいぶんと変わりました。

 担当者がいてもエサ台に降りてきて、大好きなライチや枝豆を食べ始めたり、お客さんと遊ぶココちゃんに割り込んで網越しに寄って来たり、水浴びだって大好きでした。夕方、舎内でココちゃんと遊んでいると怒ってココちゃんを追っ払ったり、何より毎日展示場に近づくと遠くからでも姿を見つけ、展示場の扉の前まで下りてきて待っているようになりました。担当者のシロちゃんに対する思い込みは悉く崩されて、こんなに明るく活発できれいな「シロビタイムジオウム」なんだ!ということを思い知らされたのです。年を取ったから、寝てばかりいたのではなく単につまらなかったし、下に降りるのは怖かったのでしょう。枝にぶら下がって遊んだり、餌を探したり、ココちゃんとじゃれ合ったり、水浴びしたり、木を齧りまくったり、お客さんを観察したり…シロちゃんの行動のバリエーションはかなり増えたと思います。

 

  

シロちゃん3 シロちゃん4
   昨年9月のシロちゃん     換羽直後のシロちゃん

 

シロちゃんは、担当動物との関り方を考え直すきっかけをくれました。動物園という限られた空間で暮らしていても、より鳥らしく、よりシロビタイムジオウムらしく暮らせるよう、個体の性格やこれまでの経歴も踏まえてできるかぎりの環境づくりをしていけるようこれからも心して飼育の仕事に携わっていきたいと思います。

 

 これまで、シロちゃんに声をかけ、遊んでいただいた方々、ココちゃんとシロちゃんの様子を温かく見守ってくださったみなさま、本当にありがとうございました。

 現在、ココちゃんの新たなお相手を探しています。また、気温が上がってココちゃんの展示が再開したら、ぜひココちゃんにも声をかけてあげてくださいね。

 

(K)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2021年01月30日

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