公益財団法人 えどがわ環境財団

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レッサーパンダ「ブナ」の死亡について

先日、HPでお知らせしましたが、10月27日レッサーパンダの「ブナ」が23才で死亡しました。

日本での飼育下では最高齢の23歳。人間で換算すると100歳を超える大往生でした。

今回は治療時の様子や死因について、皆さまにお伝えします。

 

10月19日(木)の朝、いつも通り餌を持って獣舎に行くと、普段なら声をかけると自ら起き上がることが多いですが、その日は起き上がることができず横になったまま。

よく見ると左前脚が不自然に伸びているように見えたため、獣医と再度確認をしてみたところ、左半身が麻痺しているとのこと。

特に、左前脚は全く動かず、左後ろ脚はかろうじて動かすことができる状態でした。

しばらくして痙攣を起こしましたが投薬をすると落ち着き、左半身が麻痺をしている以外はいつも通りの様子です。念のためこの日から展示を休止して安静にし、今後の

対応を検討しました。

ほかの動物園の方々からのアドバイスを参考にしながら、餌の与え方や“床ずれ”が起きないように、どのようなマットを床に敷くか等、考えなければならないことが多くありました。

 

もともと当園では竹ペースト(竹の葉をミキサーにかけ粉末状にしてフルーツを混ぜたもの)を餌として与えていましたが、口当たりがよく飲み込みやすくするように、竹の粉に

混ぜるリンゴはすりおろしたものに変更しました。

 

 

動画では、相変わらずの食欲旺盛な姿が伝わるかと思います。(少し、ほっとしました。)

 

 

 

次は、“床ずれ”にならないためにどうするかですが、当初は竹の葉を敷き詰めたり、

毛布を敷いたりしていましたが、それではどうしても“床ずれ”になってしまいます。

 

クッション性と耐圧分散性に優れた低反発素材の導入を検討しました。

このように繊維がループ状に折り重なった見た目をしています。

 

問い合わせてみたところ、無償で提供していただくことができ、これで“床ずれの”

心配がなくなりました。

ブナが寝ている様子。低反発素材に毛布を被せて使用していました。

 

こうしていろいろと可能な限りの対応をしてきましたが、10月25日(水)から食欲が落ちてきて、回復を願い投薬等を続けましたが、残念ながら10月27日(金)の朝7時半ごろ

様子を見に行くとすでに死亡していました。

暑い夏場を過ぎ、レッサーパンダにとって過ごしやすい季節となり、元気な「ブナ」の

姿を皆さまにお見せできると思っていた矢先だっただけに残念でなりません。

また担当者として、そばにいて看取ってあげることができなかったことも心残りです。 

 

死因は、脳出血が原因で左半身の麻痺が起こったようです。

さらに寝たきりになったことにより、循環が悪くなり急性の腎不全を発症した疑いも見受けられました。

誤嚥しないように注意してペースト状の餌を与えていましたが、気づかぬうちに少しづつ、気道に入っていたようで誤嚥性肺炎も発症していたようです。

こういった事例の対応の難しさを突きつけられた気がしました。

 

「ブナ」の死を無駄にせぬよう、「ブナ」から学んだ多くのことを今後の飼育管理に

活かしていきたいと思います。これからも少しでもより飼育環境を整えられるよう、スタッフ一同努めてまいります。

 

「ブナ…!」本当にたくさんのことを教えてくれてありがとう…!!

どうか安らかに、ゆっくり休んでね。

 

多くの皆様からお言葉やお花をいただきました。

ありがとうございます!!

献花台は11月12日までの設置とさせていただきます。予めご了承ください。

 

 

長い間温かく見守っていただき感謝いたします。

 

 

 

 

 

 

 

 


2023年11月08日

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